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Ross Garfitt イギリス勅許会計士 Langdowns DFK  ディレクター

​DFK Internationalに加盟している会計事務所のポートフォリオ・ディレクター。会計監査から税務やクラウドシステムの事まで幅広く対応。メールのレスポンスが驚くほど早く、また内容がクリアでわかりやすい。いつも元気で大変シャープなイギリス勅許会計士。

Q. いつもどんな質問にもクイックに答えて頂けてとても助かっています。Langdowns DFKはとてもフットワークの良い会計事務所ですよね。まずは事務所の特徴を教えて頂けますか?

 

Ross この事務所自体は70年以上の歴史を持つ古い事務所なのですが、現在中にいる人達は経営陣も含め若い人達が多いです。そのため最新のテクノロジーにも積極的に取り組む社風があり、モダンな会計事務所だと思います。

 

会計監査、税務、給与計算、社会保険、VAT、企業価値評価、財務デュー・ディリジェンス、経理アウトソース、レンタルオフィス、バーチャルオフィスと幅広いサービスを行っています。

 

 

Q. どのようなお客様が多いですか?

 

Ross イギリス国内の企業も多いですが、国外企業も多いです。規模的には売上が£60Mほどの企業もありますが、最も多いのは£1M~£10M の企業です。

 

本国では大企業でもイギリス国内はまださほど大きくなく、これから伸ばしていきたいような企業などは私たちが得意としている分野です。

 

 

Q. 先程テクノロジーのお話が出ましたが、Langdowns DFKはクラウドを多用したサービスを提供していますよね。どのような取り組みをされていますか?

 

Ross まずは会計ソフトについてですが、私たちは7年ほど前に主として扱う会計システムをクラウドサービスのXeroに決めました。イギリスでは長年Sageが主流だったじゃないですか。Sageはとても良いシステムなのですが、クラウドではありませんでした。7年前にクラウドに舵を切ったのは会計事務所としては早い方だったと思います。

 

 

Q. クラウドでしたらQuickbooksがアメリカでは主流ですが、イギリスではどうですか?

 

Ross Quickbooksのオンライン(クラウド版)はイギリスでもかなり使われています。私たちもQuickbookはサポートしています。XeroとQuickbooksの2つがメインとなっていますね。

 

 

Q. Sageもクラウド版がありますが、あまり良くないですか?

 

Ross そうですね。今のところ前述の2つには追いつけていないと思います。Sageは長らくイギリスでディファクトスタンダードだったので、クラウドの新しい波に乗るのが遅れたのでしょう。

 

 

Q. クラウドに舵を切った理由を教えて頂けますか?

 

Ross まずは何と言っても、どこからでもお客様の帳簿にログインして見たり修正したりできるところです。今までもリモートデスクトップなどでリモートアクセスする方法はありましたが、便利とは言えない環境でした。

 

お客様が何か疑問をお持ちの時はデータを送って頂いたりしてこちらで確認する必要がありましたが、今はどこからでもログインできるのでその必要がありません。お客様と同じものを同時に見ながら話ができるので効率的です。これは大きな変化でした。

 

 

Q. ただXeroもQuickbooksもそうですが、クラウド版はオンプレミス型のシステムより機能が限られてしまいます。その点はどうされていますか?

 

Ross 確かにクラウドのシステムは機能が限られます。しかしその分サードパーティー製の様々なシステムがQuickbookssやXeroと連携できるようになっていますよね。なのでiPhoneに必要なアプリを追加するような感覚で、必要な機能を足していく事ができます。

 

 

Q. そうですよね。そこがクラウドの大きな利点ですよね。CRMや在庫管理やキャッシュフローなど、好きなシステムを自分で選んでクラウド会計とリンクできるのは大変便利ですよね。

 

Ross そうなんです。以前だと例えば「ロジスティクス機能を入れるにはこのパッケージを追加しないといけない」となってしまい他の選択肢がありませんでした。でも今は細かい機能毎に多くの選択肢があり、しかもひとつひとつがとても安いです。とても便利ですよね。

 

 

Q. 外部のシステムという事で言うと、御社の顧客はReceipt Bankをよく使っているそうですね。

 

Ross はい。Receipt Bankは本当に便利です。レシートなどの紙の書類をまとめてReceipt Bankに送ると、スキャンしてデータをアップロードしてくれて、紙の書類は破棄してくれます。もう紙の書類を保管しておく必要はないのです。

 

 

Q. 税務署もデジタルデータを認めているという事ですか?

 

Ross はい。認めています。実際にReceipt bankを使っている企業に税務調査が入っても、何の問題もありませんでした。問題がないという以上に、逆にレシート等の書類が全て検索可能な形で整備されているので、税務調査が大変効率的でした。

 

 

Q. 他にはBIツールとしてFutrliを使っていますね。

 

Ross はい。これも便利です。Xeroなどの会計システムにも様々なレポートを表示する機能が含まれていますが、十分とは言えないですよね。なのでFutrliにつなげてFutrliの方でダッシュボードを作ってお客様が必要なデータを見える化しています。

 

 

Q. ダッシュボードはお客様それぞれ個別に作るのですか?

 

Ross はい。まずは弊所のBI担当がお客様と打ち合わせをして、どんなデータが必要かを確認します。その後会計データとつなげてまずはベーシックなダッシュボードを作成してお客様と共有します。

 

 

Q. その後少しづつ見たい情報を掘り下げてカスタマイズしていくのですね?

 

Ross その通りです。例えば地域別の売上や利益を並べて表示するダッシュボードや、それに連動して各営業担当のコミッション金額がわかるダッシュボードなど、大きなものから小さなものへ展開していきます。全てのデータがライブですので、経営をスピードアップする事ができます。

 

 

Q. とても効率的ですよね。効率的といえば昨年私のお客様の会計監査をやって頂きましたが、監査プロセスがとても効率的で感銘を受けました。

 

Ross T社の皆様がとても協力的でデータも在庫もかなり整っていましたからね。監査のスコープをかなり絞り込む事ができました。

 

ビジネスの規模や内容、その管理状況によって会計監査のプロセスは大きく量も質も変わってきます。極力監査に無駄なプロセスがないよう、プランニングの段階で情報を精査しスコープを絞り込む努力をしています。

 

 

Q. 税法上の質問にもいつもクリアな回答をして頂けて助かっています。

 

Ross パートナーの一人が税務署出身の者なので、彼の知識や経験が税務業務のレベルアップに大きく貢献しています。単に申告業務を行うのではなく、アドバイスや税務デュー・ディリジェンスも行っています。

 

 

Q. デュー・ディリジェンスと言えば、M&A時の財務デュー・ディリジェンスもやっていますよね。企業価値評価もよくやっていますか?

 

Ross はい。M&A時の財務デュー・ディリジェンスはよくやります。企業価値評価の方はM&Aというよりも、別の件でやるケースが事が多いです。

 

 

Q. 別の件とは、どんな件ですか?

 

Ross 離婚です。財産の分与額を特定するために、お客様が保有されているビジネスの価値を算出するケースが良くあります。

 

 

Q. なるほど、それはシリアスなバリュエーションですね(笑)。最後に、ビジネスをする上でイギリス特有の事があったら教えて頂けませんか?

 

Ross 1つ目はあまりいい事ではありませんが、イギリスでは法人の銀行口座を開設するのに最近はとても時間がかかります。イギリス人の私でも恐らく2週間はかかるでしょう。外国人や外国企業がオーナーの場合は更に時間がかかると思うので、イギリスで法人を設立する場合はそのつもりをしておく必要があります。

 

 

Q. 確かに時間がかかりますね。

 

Ross アンチマネーロンダリング等様々なチェックが必要なのはわかるのですが、もう少し早いと助かりますよね。ただ、イギリスでビジネスをすべき良い理由もたくさんあるんですよ。その中でも一番大きいのはR&D(研究開発)に関する税制優遇でしょうね。

 

 

Q. どんな優遇措置ですか?

 

Ross 例えば大企業でない場合は、実際にR&Dに使った金額の230%の金額を費用計上できるんです。

 

 

Q. 230%??? 倍以上使ったことにできるのですか?

 

Ross そうなんですよ。大きいでしょ? しかももっと凄いのは、費用計上できるだけではなくて、税務署からキャッシュを貰えるケースすらあるんです。

 

 

Q. R&Dで資金を使ったら、税務署からキャッシュを貰えるのですか?

 

Ross その通りです。例えばITのスタートアップ企業、フィンテックのアプリを作っている会社だとしましょうか。まだ売上は全く立っておらず、アプリ開発のR&D費用だけがどんどん出ていっている会社があるとします。

 

その会社が£100,000をR&Dに使ったとしたら、税務上は£230,000使った事にできます。しかしその会社はまだ利益がないのでそのままロスになりますよね。

 

その場合は政府がそのロス分の14.5%を支払ってくれる。つまりキャッシュを貰えるのです。

 

 

Q. という事は£100,000使ったら£33,350を税務署から貰えるわけですか?

 

Ross その通りです。実際のR&Dでのキャッシュアウトは£66,650で済んだという事になりますね。

 

 

Q. これは大きいですね。特にスタートアップ時にはありがたい税制ですね。

 

Ross そうなんです。イギリス政府はこの税制優遇措置で、イギリスにR&D企業を呼び込もうと考えており、実際にその効果が出ているようです。

 

 

Q. ちなみに、R&Dと認められるための要件はかなり厳しいのですか?

 

Ross それが、全然そんな事はないんです。先程のアプリの例などは明らかにR&Dと言えますが、例えば建設会社の日常業務などでもR&Dは認められる場合があります。

 

何かを建てたり作ったりする時には、毎回同じ方法ではなくていくばくかの工夫というか、研究して変更する事がありますよね。それらを例えば「総コストの○○%はR&Dだろう」という風に認識する事ができるのです。

 

 

Q. それは幅広い可能性がありますね。その○○%というのはどうやって算出するのですか?

 

Ross それ専門の会社があります。そことミーティングをして業務内容を話すと、R&D費用としてどれくらい計上できる可能性があるかを教えてくれます。もしある程度の可能性があるようであれば彼らに頼めば算出し申告してくれます。

 

 

Q. でも申告したら税務署から認められないというケースもあるのですよね。

 

Ross 確かにありますが、多くの専門会社は成功報酬フィーで仕事をしてくれます。つまり実際に税務署からキャッシュが入ってきた金額からの成功報酬フィーですから、企業側は失うものはないんです。

 

 

Q. それはやってみる価値がありますね。

 

Ross 他にもイギリスには様々な優遇措置がありますが、話し出すときりがないですね(笑)。

 

 

Q. そうですね。それは具体的な案件の時にぜひお願いします。本日はお忙しい中様々なお話をして頂きありがとうございました。

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Langdowns DFK


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Tel : +44 (0)23 8061 3000

http://www.langdownsdfk.com/

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