
John Kennar 英国弁護士
Matthew Homan 英国弁護士
Natalie Burman 英国弁護士
イギリスでのビジネスに必要な全てのエリアをカバーする万能な法律事務所。法人の組成から各種契約書、知的財産、M&A、雇用問題までワンストップで法務サービスを提供する。3人共大手法律事務所出身ながら、ここでは“気軽に相談できる法律事務所”というスタイルを貫いており、本当に気さくで親切な弁護士達。いつもリーズナブルで丁寧な仕事をしてくれるありがたい法律事務所。
Q. 以前私の日本のお客様がイギリス企業を買収した時にお世話になりました。いつもクイックレスポンスで明快な説明をしてくださり大変助かります。まずはTalking Legal Lawyersがどんな特徴を持った事務所かお話いただけますか?
John: 私達は以前はみな大手の法律事務所に勤務していました。私と Natalieでこの事務所を創業しまして、後に Matthewが加わってくれました。ビジネスを行う上での法務的な事なら『何でもご相談頂ける』という法律事務所としては少し変わった事務所です。
Q. そうですね。法律事務所はひとつの専門エリアのみしか扱わないところが多いですが、何でも扱ってもらえるのですね。具体的にはどんな内容すか?
Matthew: 例えば会社を設立する場合でしたら設立手続きも行います。法人の設立自体はイギリスではとても簡単です。オンラインで即日に設立できてしまいます。どちらかというと株主間契約書の整備などの方が重要ですよね。株の売買や買い戻しに関する規定を決めたりするのは重要ですからね。
Natalie: 他には各種契約書の作成やレビューなども行います。資産の譲渡やリースやそのリースの譲渡などの契約、ライセンス契約、販売代理店契約、エージェンシー契約など、あらゆる契約書を扱います。
Matthew: 組織再編の業務も多いですね。よく会計士の方々が法人税額の最適化のためにグループ会社の再編を行う事があるのですが、その時に会計士の方々から業務の紹介を受ける事が多いです。
Natalie: それとM&Aですね。売り側の場合も買う側の場合もM&A全体をサポートしています。
Q. M&Aでのサービスは多岐にわたると思いますが、どんな内容ですか?
Natalie: まずあるのが法務デュー・ディリジェンスですね。ターゲット企業に法務的なリスクがないか、隠れた起こり得る偶発債務がないかなどをチェックします。
Matthew: その後は条件交渉も行います。金額はもちろんその支払い方法、各種制限事項の内容などを交渉します。
Natalie: 売り側の場合は必要な情報を全てオープンするディスクロージャーレターの作成も行います。公開すべき情報を整えて、Dropboxなどのクラウドサービスを使って情報をシェアします。
Matthew: 売り側の場合、売り側の責任範囲を限定する条項をつけるのは重要ですよね。金額的に上限を設定する事もあるし、期間を限定する場合もあります。
Natalie: 多くの場合は買う側が契約書を用意しますよね。その場合は私たちが株式譲渡契約書や資産譲渡契約書や合併契約書のドラフトを作成します。
Q. 契約書案の作成は、法律事務所によって大きく違いが出ますよね。私のお客様がアメリカで小規模な買収を行う時に一度痛い目にあった事がありました。
ニューヨークにある大手の国際会計事務所に契約書案の作成を依頼したのですが、できあがってみたら規模とは不釣り合いな壮大なページ数の契約書になっていたのです。しかも内容がとても難解でした。一つの文章が10行以上に渡っていたりするんですよ(笑)。
Natalie: 大手の場合あり得ますね(笑)。
Q. しかもその膨大な量の契約書案に対して、相手の弁護士が膨大な量の修正を入れてくるんです。その後は双方の修正合戦が延々と続いていくわけですよ。気がついたら両方の弁護士費用が凄い金額に膨れ上がっていました。
Matthew: 残念な事ですが、確かに大手の場合はそういう事が起こり得ますね(笑)。私たちも勤めていたのでわかるのですが、担当弁護士は事務所内の他の専門弁護士に意見を聞いたりしないといけない場合があるのです。そうするとそこで時間が膨れ上がりますね。
更にその専門弁護士は一からその取引を理解しないといけないですから、知っている人なら20分で終わるチェックでも1時間半とかかかってしまうんです。そこでまたチャージする時間が増えてしまいます。
Q. なるほど、そういう事情があるのですね。こちらの事務所では専門の弁護士に意見を聞いたりしないのですか?
Matthew: よほど専門的な事でない限り私たち自身で判断しますよ。よくM&Aの相手側の法律事務所が大手だったりすると、ミーテイングに相手側は3人から4人の弁護士で来たりするんです。こちらは私一人(笑)。
Q. 相手は各専門が集ってくるわけですね。
Matthew: そうです。すると「そちらの資産管理担当の弁護士は誰ですか?」とか聞いてくるのです。もちろん私ですと答えます。すると「あれ、知的財産は? 税務関係は?」となるので「あ、それも私、それも私、全部私です」というようなやりとりがよくあります(笑)。
Q. 相手はびっくりするでしょうね(笑)。複数の弁護士が関わると契約書がもっと複雑になったりするのでしょうね。
Natalie: それと、これはM&Aに限らずですが、私たちは契約書案を作る時は両方にとって受け入れやすい契約書案を作成するようにしています。両方にとってフェアな内容です。
John: そうなんですよ。もちろん自分達のクライアントを守るのが大前提ですが、相手に受け入れてもらいやすい案でないと結局合意に至りませんよね。そうすると無駄な交渉が増えてしまってクライアントのためにならないのです。
Q. それは合理的ですしありがたいですね。
Natalie: これは私の私見ですが、アメリカの弁護士は自分のクライアントに寄ったワンサイドな契約書案を作る傾向があるような気がします。イギリスの方が両方にフェアな内容が多いと思いますよ(笑)。
Q. なるほど、商習慣の違いなのでしょうね。
Matthew: それはありますね。例えばアメリカではM&Aの契約書にIndemnity(補償)条項をつけたがりますよね。あれはヨーロッパではあまり使わないです。Warranty(保証)はしっかり付けますけどIndemnityはないですよ。
Q. WarrantyとIndemnityの違いは何ですか?
Matthew: Warrantyは、こちらが保証した事に関して何か後で相手に損失が出た場合、その損失分を支払いますというものです。損失を被った側が何の保証に起因した損失かを特定しなければなりませんし、十分に注意して正しく業務を行っていたのに起きた損失だという事を証明しないといけないのです。
一方Indemnityは「損失が出たのだから補償してくれ」というもので、それが何に起因しているかを特定する必要もないのです。
John: 例えば、雇用問題があった事が買収後にわかり、それで損失が発生したとしますよね。Warrantyの場合は「もちろん自分達が対処はするけど、これだけの損失が実際にかかったからその分は支払ってくださいね」というものです。
損失額も精査されるので、概ね要求額の60%から70%で落着する事が多いです。フェアですよね。
しかしIndemnityは「原因は関係ない。とにかく起こったのだから支払ってくれ」というものです。ヨーロッパではなかなか受け入れられませんね。
Q. 欧米間のM&Aだとそこは争点になりそうですね。M&A絡みで、他に扱っているサービスはありますか?
Matthew: M&Aに付随する事が多いのですが、鍵となる従業員に付与するストック・オプション等のインセンティブプランを私たちが作成する事もよくあります。
M&A時にバリュエーションを行って企業価値を算出しますよね。なのでそこで株価を決めて、従業員が5年後などにその株価で購入する権利を与えるものです。5年後に業績が伸びても今の株価で購入できるわけですから、有効なインセンティブになります。
Natalie: 発行する株式の種類を変えて行う事が多いですね。議決権がつかない株式をインセンティブとする事も多いです。
John: 議決権が付かなくても数年後に価値が上がった株を現在の株価で買えるとなると、大きなインセンティブになり得ます。鍵となる従業員を会社の中に留めて活躍してもらうためにとても有効な手法です。
Q. インセンティブプランの作成もしてもらえるのですね。ありがたいですね。逆にこちらの事務所ではしていない業務というのはありますか?
John: 私たちはビジネスに関する事なら扱わない業務というのはありません。しかし、自分達でやらずに相応しい専門家を紹介するという事はよくあります。
例えば国際関係とか、知的財産とか、雇用関係とか、裁判とか、内容が専門的な分野に深く入り込んでいるケースではそれに相応しい専門の弁護士を紹介しています。
Q. とりあえず何でもこちらの事務所に相談すれば何とか道が見えるわけですね。
John: そうです。私たちがハブになる感じですね。私たちも専門外の事に取り組む事もできますが、それではクラアントにとって非効率です。専門性が高い事はそれに特化した弁護士が行う方が効率的です。
Matthew: 例えばですが、私たちは裁判は扱いません。それに至る前までは扱いますが裁判以降は専門の弁護士を紹介しています。
イギリスの裁判システムはプロトコルが確立していて、それに沿った形で裁判を進めないといけません。システマティックにして裁判の進行を早くしようという狙いですね。このプロトコルを確実に理解している専門の弁護士に依頼すべきです。
Natalie: プロトコルを100%理解して経験も積んでいないと、途中で裁判が進まなくなってクライアントに迷惑をかけてしまいますからね。
Q. 専門の事務所を紹介して頂く場合は、どんな事務所になりますか?
Matthew: 私たちが信頼していて、私たちのように合理的な事務所です。事務所によっては「業務を始める前に前金で£5,000頂きます」というようなところもたくさんありますが、そういうところではない事務所です(笑)。
John: 確かに、最初に着手金を取る事務所は多いですよね。
Natalie: 今朝もある新規のお客様から電話があって「電話相談はいくらかかるの?」と心配されていました(笑)。私たちは電話相談や初回相談は無料でやっています。
John: まずは話を聞いて書類を見てみて、それからどんな選択肢があるか、いくらくらいかかりそうかという話をします。そこで終わったらもちろん無料ですよ。それがアプローチャブル(身近さ)というものだと思いませんか?
Q. そう思います。こちらの事務所は法律事務所でありながら本当に身近さを感じます。
Matthew: 大手の事務所ではなかなかそうはできないんですよね。みんなターゲットを達成するために一生懸命ですから。
Q. え? 大手はターゲット(売上目標)があるんですか?
John, Matthew, & Natalie: もちろんですよ!
John: もし無料でミーティングなんてしていたら「君は請求できない相手に対してどうして30分も使ったんだ!」という事になってしまうんです(笑)。
大きな事務所は固定費も大きいですから仕方ないとは思うのですが、実際の弁護士費用がクライアントが受ける恩恵と釣り合っていないと、弁護士側だって気持ち良いものではないです。売上目標を追いかけるような仕事のやり方は、弁護士を壊してしまうような気がしますよ。
Matthew: 壊れますね(笑)。私が大手にいた頃、頑張ってターゲットを上回ったら翌年はもっと高いターゲットが設定されたんです。ハードに頑張ったら翌年はもっとハードになりました(笑)。
John: 私たちは、もっと現実的で合理的な法律事務所経営があるはずだと思ってこの事務所を創業しました。なので今のようなスタイルになっています。
Matthew: 実際合理的だと思うのです。例えば先日不動産のリース契約の案件があったのですが、しばらく仕事をした後にそのリース自体が頓挫したことがありました。
業務はしたので無料にはできませんでしたが、当初の見積もり額の一部だけを請求させて頂きました。業務は完了したからといっても、クライアントの立場からしたらリース自体が無くなってしまったわけですからね。
そうしたらとても感謝して頂けて「また今度依頼しますね」と言ってくださいました。そして一ヶ月後、本当に業務の依頼が来ました。長期的な関係でクライアントとお付き合いをするには、このスタイルは合理的だと思います。
Q. 私もそう思います。とは言いつつも、サービスで終わる事が続いたりすると「これでいいのかな?」と不安になったりしてしまうんですよね(笑)。今日皆さんとお会いしてこのスタイルでいいんだと納得する事ができました。ありがとうございます。
今後ともお付き合いをよろしくお願いします。

Talking Legal Lawyers
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