
Jérôme Willard フランス公認会計士 Astria 代表
Big 4会計事務所に勤務後独立し、2011年に会計事務所(Astria)を創業。パリの8区にオフィスを構え多国籍企業の顧客を多く持つ。フランス語が母国語だが、英語とドイツ語も堪能。日本の上場企業の顧客も持っているが、中小企業のビジネスサポートも得意としている。いつもメールのレスポンスが早く、的を得たアドバイスをくれる頼れるフランス会計士。
Q. Astriaの業務内容を教えてもらえますか?
Jérôme: 多くの海外資本の企業の会計周りのお世話をさせて頂いています。ブックキーピングに始まり給与計算、VAT申告、法人税申告などです。また、お客様によっては月次や四半期の本社へのレポーティングも行っています。
Q.ブックキーピングは手間がかかる業務だと思いますが、どうやっていますか?
Jérôme: 確かに手間がかかる業務です。特にフランスは帳簿をフランス語でつけなくてはならないというルールがあるので、勘定科目から何から何までフランス語でないといけないんです。外国の企業の方が自分達で記帳をしていくのは難しいんですよ。なので弊所で引き受ける事が多いんです。
ただ、IT技術のお陰でかなり効率化されてきました。銀行口座の取引履歴は全て自動的に会計ソフトとリンクできるし、請求書等のデータもスキャンして取り込む事ができます。随分便利になりました。
Q. 本社へのレポーティングなどは月次を閉めてから作成しないといけないので大変ですよね。
Jérôme: そうですね。会社によってフォーマットが違いますし、フランス語の財務データから英語に直して作らないといけないので、毎月これが終わるまでは大変です。
Q. 会計監査はしていないのですね。
Jérôme: はい。私たちは財務諸表を作る側の仕事をしているので、独立性の問題があって監査はしていません。監査が必要な場合は規模に相応しい監査法人を紹介しています。
Q. フランスでは多くの法人が会計監査を受けないといけないのですか?
Jérôme: 最近ルールが変わってかなり緩和されたので、会計監査を受けなくても良い法人は多くなりました。しかし外国資本の法人の場合は多くの場合監査が必要なのが現状です。
Q. ちなみにその監査なのですが、費用や手間的にかなり負担が多いものですか?
Jérôme: いえ、そんな事はありません。フランス国内のオペレーションがさほど大きくない場合はさほど複雑ではありません。私たちが監査用の書類をきちんと作成して監査法人に提出すれば、ほぼ問題なく監査報告書にサインしてもらえます。
Q. フランスは労務関係の法律が厳しいイメージがあります。私のお客様のオランダ人の方は「フランスで人を雇ったら、業績が悪くても人を減らす事ができない」と仰っていました。本当はどうですか?
Jérôme: いえ、それは誤解ですね。解雇できないという事はありませんよ。ただ、確かに他国よりも従業員寄りのルールになっているので、解雇までに様々なプロセスがあります。きちんとルールに則っていれば問題はありません。
雇用する際の雇用契約などは専門の弁護士に頼む必要があります。これは会社を設立したらすぐに取り掛かった方が良いですね。
Q. 雇用契約書をわざわざ弁護士に頼んで作るのですか?そんなに複雑なのですか?
Jérôme: 複雑という事はないのですが、法律が頻繁に変わるので雇用専門の弁護士でないとルールをアップデートしきれないのです。弁護士に頼むというと大げさに聞こえますが、雇用契約は専門の人に頼むのがフランスでは普通と思っておくと良いと思います。
Q. なるほど、他には普通に思っておくべきことはありますか?
Jérôme: ビジネス保険も会社の保全として専門の人にお願いして入るのが普通です。最新の法律で必要なカバーを提案してくれます。
それと、人の採用はなかなか大変なので人材紹介会社にお願いするのも普通です。
Q. 人の採用は難しいですか? 得に英語ができる人の採用となると。
Jérôme: 確かにフランス人は英語を話さない人は多いですね。しかしビジネスでマネージャークラス以上の方々であれば、英語を話す人が今は多いです。その点はあまり心配はないと思います。
Q.なるほど、そうすると会社を設立したら最初に必要になるのは、弁護士と保険会社と人材紹介会社という事になりそうですね。
Jérôme: その通りです。それらが最初のセットですね。英語を話す人を紹介できますので問題ありません。それ以外の事はだいたい全て弊所でカバーする事ができます。
Q.フランスに出てきている外国資本企業の特徴は何かありますか?
Jérôme: ありますね。多くの外国企業はフランスには営業機能だけを置く事が多いです。なので大企業であってもフランスには1名から10名くらいの場合が多いんです。バックオフィスは他国、倉庫も他国で他国から直接フランスにものを売っています。フランス法人は営業コミッションを本社にチャージするような事が多いです。
Q.フランスはセールスに特化する感じなのですね。
Jérôme: そうですね。製造、物流、サポート、バックオフィスはフランス国内に持たない事が多いですね。なのでフランス国内のオペレーションはさほど複雑ではない事が多いんです。移転価格の問題もあまり多くありません。従業員も少なくて済みますので、雇用法が厳しめなのもさほど大きな問題ではないと思います。
Q.なるほど、それならあまり気負わずにフランスでビジネスが始められそうですね。
Jérôme: そうですね。もしフランスでビジネスを始める場合はぜひ連絡してください。弁護士も保険も人材紹介ももし必要ならば監査法人も、全て英語が話せてリーズナブルな人を手配します。最初のミーティングで1から2時間くらい頂いて色々質問させて頂きますが、その時に弁護士も一緒にミーティングをする事も多いです。なるべくお手間をかけないように全てをセットアップします。
Q. それはとても頼もしいですね。フランスでのプロジェクトが発生する際には、今後も頼りにさせて頂きます。
Jérôme: こちらこそ。外国資本の企業のお世話は私たちの得意分野ですので、一緒に頑張りましょう。

Astria
24-26 rue de la Pépinière
75008 Paris
France
Tel : 33 1 53 76 46 94
http://www.astria-audit.fr